様々な分野の企業でコンプライアンス対策が進められている中、建設業も例外ではなくコンプライアンス対策が急務となっています。
建設業のコンプライアンス違反といえば、入札談合や粉飾決算、さらに最近では耐震偽装やデータ偽装もニュースとして大きく取り上げられていましたよね。
建設業は、以前から人手不足が問題となっている中で、建設業法や関係法令に則ったコンプライアンス対策を施し、世論はもちろん、作業員の労働環境を改めていく必要があります。
ここからは、建設業でコンプライアンス違反の事例や受ける処分、さらに求められるコンプライアンス対策についてお話していきます。
1.建設業のコンプライアンス違反!科せられる処分とは?
先程も説明しましたが、建設業のコンプライアンス違反は、
- 入札談合
- 粉飾決算
- 耐震偽装
- データ偽装
- 粗雑工事(不正リフォーム)
などが挙げられ、このした行為がひとたび発覚すれば、その企業だけでなく建設業全体にまで悪影響を与えてしまいます。
建設業法で規制する違反行為
そのため、「建設業法」では元請下請の取引関係以外にも、請負契約や工事の施工などに関して以下の様な9つの規制が設けられています。
- 無許可業者と下請契約をする場合の制限及び一般建設業者が下請契約をする場合の制限
- 見積条件の提示
- 書面による契約締結
- やり直し工事
- 一括下請負
- 施工体制台帳・施工体系図の作成
- 主任技術者等の配置義務違反
- 経営事項審査の虚偽申請
- 標識の掲示、帳簿の備え付け及び保存
この9つの規制に違反した場合、それがコンプライアンス違反として、監督行政庁である国や地方自治体から監督処分が下されます。
建設業法による監督処分
監督処分は、簡単には行政処分を意味し、違反の内容や程度によって以下の3つの処分が下されます。
指示処分
建設業法違反または不適切な事実について、適切な状態に戻すために監督行政庁が具体的な措置を命令するもの。
営業停止処分
指示処分に従わない建設業者に対して、1年以内の期間で営業活動を停止する処分。
新たな請負契約の締結や入札、見積りなど、付随する行為も禁止となる。
許可取消処分
不正な手段で建設業の許可を受けた場合や、建設業法などの違反の程度が重いと判断された場合、建設業許可の取消しとなる。
先程説明した、9つの規制に違反すれば、指示処分が出され、その指示に従わなければ営業停止処分が科せられます。
さらに、談合、贈収賄、詐欺、補助金不正利用、独占禁止法違反などのコンプライアンス違反を犯してしまうと、営業停止処分が科せられ、行為の程度によっては建設業許可の取り消しといった重い罰則が科せられてしまいます。
指示処分が出される時点で問題はあるものの、悪いものは悪いこととしっかり認識して、指摘された部分は早急に改善するのが重要ですよね。
2.建設業に求められるコンプライアンス対策!
建設業界では入札談合や粉飾決算といったコンプライアンス違反のほかに、近年では耐震偽装やデータ偽装の事件が続いています。
最近の話では、免震や制振ダンパーで国内最大手の「KYB」による検査データ改ざんが大きくニュースになっていましたよね。
改ざんが発覚したのは全国の住宅や庁舎などの免震や制振装置の検査データで、少なくとも986件で使われた可能性があるとのこと。
その他にも、2015年には東洋ゴムが製造・販売している建築用の免震ゴム部品の性能データ偽装も発生しており、データ改ざん事件が大きな問題になっています。
ひとたびこうした不正が発覚すれば、その企業だけでなく、建設業全体の信用と評判を下げてしまうことになり、事業活動に大きなダメージを与えてしまいます。さらに、建設業界は深刻な人手不足に直面しており、その大きな原因は賃金の安さと労働環境の悪さ。
そこで、健全な事業活動を行いつつ、建設業の担い手を確保していくためには、コンプライアンス対策が急務となっているのです。
建設業でコンプライアンス対策をしていくには
ンプライアンスの概念は「法令遵守」が基本であり、さらに企業倫理や社会貢献などに配慮した行動をしていくこと。
そのため、まずは経営側がコンプライアンスの概念に基づいた経営理念を掲げ、建設業法に違反しないような行動基準を定める必要があります。
行動基準は、簡単には業務マニュアルを指し、建設業法や社内規定に沿って作成したのち、社員一人一人にコンプライアンスの重要性を正確に周知徹底していきます。
さらに、対外的に浸透させることで企業イメージは高まり、消費者からもリスクが少ない企業として信用が得られやすくなるのです。
総合建設業になれば、多くの下請け業者と取り引きしていく必要があるので、契約の流れを含めた業務マニュアルの整備が求められます。
3.まとめ
様々な業界でコンプライアンスが求められる中で、建設業界も例外ではなくコンプライアンス対策が求められています。
建設業界では近年、データ偽造や改ざんが社会問題になっているほか、深刻な人手不足も問題になっています。
そこで、コンプライアンス対策を社内はもちろん対外的にも浸透させることで、企業イメージが高まり、将来の担い手も確保していけるようになるのです。
そのためには、経営側はもちろん、社員一人一人にコンプライアンスの重要性をしっかり認識してもらう必要があります。