企業を含めて様々な組織によるコンプライアンス違反は、しばしばニュースとして取り上げられていますよね。
車メーカーによるリコール隠しや検査データ改ざんの他、談合、贈収相など、これらは全て企業によるコンプライアンス違反。
さらに、経営側だけでなく、従業員が何気なくしていることがコンプライアンス違反になることもあります。
そこで、コンプライアンス違反が発覚した場合、企業や従業員はどんな処分を受けるのか?
ニュースでは事実は伝えられますが、どんな処分が下されているのかまでは報道されませんよね。
ということで今回は、企業や従業員がコンプライアンス違反すると科せられる処分についてお話していきます。
1.企業によるコンプライアンス違反への処分とは?
そもそもコンプライアンスは日本語で「法令遵守」と訳され、法令だけ守れば問題ないように感じられがち。
しかし、本来のコンプライアンス違反は、法令違反だけでなく、組織の就業規則や社内規定への違反、さらに法律や法令で定められていない「一般常識」から外れた行為までコンプライアンス違反に含まれるのです。
コンプライアンスとは?については『コンプライアンスとは?法令以外にもルールが!』の中で詳しく説明しているので是非ご覧ください。
企業によるコンプライアンス違反への処分
企業による不正や不祥事などのコンプライアンス違反は、2000年に入ってから相次いでいます。
主に、脱税/贈収相/粉飾決算/インサイダー/横領/談合/リコール隠し/検査データ改ざんなどの他に、近年では従業員に対して残業を強要するなど、過酷な労働環境も問題になっていますよね。
そこで、以上のようなコンプライアンス違反を企業が行い、その行為が発覚してしまうと、
- 行政処分
- 刑事処分
と、事案で異なるものの大きくこの2つの処分が科せられる可能性があるのです。
それぞれ法律的な難しい説明は抜きにして、分かりやすく処分内容をご説明いたします。
行政処分
行政処分は、単純に国や地方自治体といった行政から科せられる処分です。
企業自体もしくは、コンプライアンス違反を犯した役員や従業員に対する処分として、主に以下のように処分が下されます。
- 改善命令
- 措置命令
- 業務停止命令
- 許認可取り消し
- 過料および課徴金
コンプライアンス違反の種類や程度によって異なりますが、いずれかの処分が科せられることになります。
刑事処分
刑事処分は、重大なコンプライアンス違反が発覚すると、国の司法機関から刑事責任が追及され、程度に応じで処分が下されるものです。
主に、コンプライアンス違反を犯した企業の役員や従業員、さらに企業自体に対しても裁判所が刑事責任の有無を判断し、程度に応じた量刑が科せられるのです。
例えば、企業による脱税や粉飾決済など不正に利益を得ていた場合、重加算税などの処分が下されるほか、悪質な脱税では刑事罰が科されることもあります。
また、企業に属している役員や従業員が不正を行っていた場合は、自由刑(懲役刑・禁固刑)または財産刑(罰金、過料、財産没収など)といった判決が下されています。
このように、企業もしくは所属している役員や従業員がコンプライアンスを違反した場合、大きく行政処分と刑事処分が下されることになります。
さらに、報道機関によって企業名などが報道されれば、様々な分野からの社会的制裁を受けることになるので、実際にいくつもの会社がコンプライアンス違反によって倒産しているのです。
2.従業員によるコンプライアンス違反への処分とは?
企業に所属している役員を含めた従業員が不正会計などのコンプライアンス違反を犯した場合、悪質なケースでは前項でお話しした通り、刑事処分が下されます。
しかし、刑事処分だけでなく、それぞれの企業が定めている就業規則や社内規定に則った罰則も合わせて科せられることになります。
企業による処分は一般的に「懲戒処分」と呼ばれ、企業によって規定は異なりますが、大きく以下の6種類が挙げられます。
処分の重いものからご覧いただきます。
➀懲戒解雇
企業側が一方的に雇用契約を解消することで、退職金は全く支払われない、もしくは一部しか支給されません。
➁諭旨解雇
自主的に退職するように勧告し、従わない場合は懲戒解雇するもので、退職金は支払われます。
➂出勤停止
従業員に対して一定期間出社および就労を禁止する処分で、平均で10~15日程度になっています。
➃降格
役職や職位を下げることで、単純に部長から課長に役職を下げる処分です。
➄減給
本来もらっている給料から一定期間一部差し引かれる処分です。
➅譴責(けんせき)
コンプライアンス違反に対しての始末書を提出させること。
以上のように、企業が定めている就業規則や社会規程に違反すると、一般的にいずれかの処分が科せられます。
ニュースに取り上げられているような悪質なコンプライアンス違反を犯した従業員は、懲戒解雇もしくは諭旨解雇といった重い処分が下されているはずです。
3.まとめ
コンプライアンス違反という名称で報道されていませんが、企業自体や勤める役員を含めた従業員による不正行為は後を絶ちませんよね。
コンプライアンス違反とは、簡単には「人としてやってはいけない行為」をしてしまうと、何らかの処分が下されるのは当然。特に企業で故意にコンプライアンス違反を犯してしまうと、行政および刑事処分が下され、倒産する企業は少なくありません。
また、個人の役員や従業員がコンプライアンス違反を犯してしまうと、刑事責任のほか企業からも懲戒処分が下されてしまいます。
明らかにコンプライアンス違反と分かるものの他にも、何気なくやっていることがコンプライアンス違反になっているケースがあるので、就業規則や社内規定はしっかり認識しておきたいですね。