営業といえば、企業では花形の仕事として、売り上げ確保のために日々奔走している方は多いのではないでしょうか。
その営業マンの方は移動や人と接する機会が多く、交通費やお土産代など経費を使うことは多いのではないでしょうか?
以前は「売れれば何でもあり」という風潮はありましたが、現在ではコンプライアンスを意識した営業が求められる時代です。
しかし、日々頑張っている営業マンがいる中で、コンプライアンス違反をする営業マンが残念ながら存在し、度々ニュースでも取り上げられています。
なかには、会社からの処分だけでなく、刑事罰則を受けるようなことも発生しています。
ここからは、営業マンによる実際に発生している3つのコンプライアンス違反と、不正が発覚することで科せられる罰則や処分についてお話ししていきます。
1.営業マンによる3つのコンプライアンス違反とは?
営業の仕事をしている方なら理解できると思いますが、会社の経費はよく使いますよね。
取引先や顧客へ訪問するための交通費やお土産代、さらに接待費など、売り上げを確保するために必要な経費です。
通常、企業などの組織で交通費や交際費といった経費を使うときには、事前に申請して、使ったあとは領収書を添付して清算書を提出する必要があります。
しかし、健全に営業活動している人の陰で、経費を不正に利用する人が後を絶たないのです。
営業の現場で発生する3つのコンプライアンス違反
営業職は移動や人と接する機会が多く、考え方によっては不正がしやすいといえます。
もちろん、健全に営業活動している方が大多数かと思いますが、実際に以下の3つのコンプライアンス違反が発覚しているのです。
カラ出張など交通費の不正受給
カラ出張は、役人による事件で世間を騒がせていましたよね。
カラ出張は、単純に出張に行ってもいないのに、出張したと見せかけて出張費を不正受給する詐欺まがいの行為です。
悪質なケースでは、出張先の担当者や清算する経理担当者とグルになって不正をしている事例もあります。
また、カラ出張だけでなく、日々の営業活動で使う交通費の不正受給も頻繁に発生しています。
よくある手口として、移動経路を偽って報告したり、利用していない交通経路を申請したりなどが挙げられます。
このような交通費は主に公共の電車やバスの運賃になるため、領収証が必要なく1回の金額も大きくならないことから、発覚しにくい経費として、残念ながら頻繁に行われているのです。
このような経費の不正受給は人としてのモラルが問われるので、防ぐ手段はないものの、コンプライアンス研修を社内で実施し、発覚した場合はどのような処罰を受けるのか、などのルールの意識づけを定期的に行うことが重要かもしれませんね。
交際費の不正利用
交際費の不正利用もよく聞きますよね。
経費の中でも交際費は利用した内容が把握しにくく、不正がしやすい経費といえます。
当然、顧客や取引先と会食するなど、必要と思われる交際費の利用は何の問題もありません。
しかし、業務に関係するかどうかの判断が難しく、これも営業担当者のモラルが問われる部分なので、チェックしていても防ぐのは困難だといいます。
さらに、白紙の領収証をもらって手書きで経費を水増ししている悪質なケースもあるのです。
その防止対策として、「交際費利用伺い書」などを作成して、営業担当者に交際費を使う理由や相手先の名称や人数、お店の名前、支出予定金額などを記載して提出させ、事後は領収証を添付して報告書を提出させるようにすれば、ある程度不正は防げるのではないでしょうか。
経費の私的流用
私的流用とは、簡単にはプライベートで使ったお金を経費として処理する行為で、最も悪質な経費の不正利用です。
実際の事例として、カラ出張にも当てはまりますが、プライベートな旅行を業務で出張したように見せかけるケース。
さらに、家族とのプライベートな食事を取引先との会食で使った交際費として上申するなど、営業という職種を利用した悪質な事例です。
ここまで大胆なことをする人は稀ですが、公私はしっかり区分するような体制作りが求められます。
以上、営業に関わるコンプライアンス違反を3つご紹介しましたが、いずれも人としてのモラルに問題があります。
対策としては、社内でコンプライアンス教育をこまめに行い、営業マンを含めた社員一人一人にコンプライアンスの重要性を認識させることが大切です。
2.不正が発覚することで科せられる罰則・処分
前項でご覧いただいた3つのコンプライアンス違反をすることで、会社の利益は当然少なくなってしまいます。
経費が多くなれば、おのずと会社の利益も少なくなるので、売り上げに直結しない不正な経費が増加すればするほど、会社の利益は減り続けることになります。
そこで、交際費や交通費の不正利用が発覚すると、どんな罰則や処分が科せられるのか?
経費の不正利用は「横領」にあたり、発覚すれば会社からの処分だけでなく、刑事罰則も覚悟しておかなければなりません。
会社からの処分
まず、会社で経費の不正利用など重大なコンプライアンス違反を起こした場合、就業規則や社内規定に沿って「懲戒処分」が下されます。
懲戒処分には以下の6種類があり、経費の不正利用の場合、「懲戒解雇」もしくは「諭旨解雇」は免れないでしょう。
- 懲戒解雇
- 諭旨解雇
- 出勤停止
- 降格
- 減給
- 譴責(けんせき)※始末書を提出させること
もちろん、故意ではなく精算時のミスなどのケースでは、譴責程度で済むのではないでしょうか。
ただし、経費の私的流用が発覚すれば、懲戒解雇になるということはよく理解しておきましょう。
刑事罰則
経費の不正利用の内容や金額によって違いはありますが、悪質で金額が大きい場合は「業務上横領罪」が適用されるケースがあります。
業務上横領は、法律上10年以下の懲役とされており、不正で得た金額によって量刑が異なります。
- 被害額〜100万円:執行猶予
- 被害額〜500万円:2年の実刑
- 被害額〜1,000万円:2年6か月の実刑
- 被害額〜3,000万円:3年の実刑
さらに、横領した額はすべて返済義務が科せられるので、会社を解雇されていれば生活自体ができない状態に陥ってしまいます。
以上のように、軽い気持ちでやっていても経費を不正に利用すれば、大きなペナルティが科せられるので、営業活動であっても会社の経費は大切に使うようにしましょう。
3.まとめ
営業は企業の花形として活躍している方は多いでしょう。
その営業マンは、交通費や交際費など会社の経費を使う機会が多いため、社内で徹底したコンプライアンス教育が必要になります。
コンプライアンスは、法令遵守とともに人としての一般常識を守ることも問われます。
ご紹介した3つの経費の不正利用はコンプライアンス教育をこまめに行うことで、ある程度防ぐことができるのではないでしょうか。
当然、会社として交際費や交通費の使い方を定めて、管理する側もチェック体制を強化する必要があります。